Special Interview「はなえむ」松本友恵さん-ウェディングプランナー&司会者-

エシカルウェディング協会のメンバーに、日々の活動内容についてインタビュー。今回は長崎県を拠点に、フリーランスのウェディングプランナー&司会者として活動する松本友恵さんの登場です。ご自身の結婚式をきっかけに新郎新婦に寄り添う仕事の魅力を知ったという松本さんが、これまでに手がけた結婚式は200組以上。親世代になった今、新郎新婦だけではなく両親の想いにも耳を傾けながら、「今日の結婚式、良かったね」とすべての参加者が笑顔で帰られる一日をつくり続けています。ウェディングプランナーになったきっかけから、長崎ならではの結婚式文化、そして忘れられない新郎新婦とのエピソードまで、たっぷりとお話を伺いました。
結婚式の仕事を知ったのは、自分自身の結婚式がきっかけ
ー長崎県にはずっとお住まいなんですか?
はい、そうです。
ーご自身の結婚式がきっかけでウェディングプランナーに興味を持たれたそうですが、そのきっかけを教えてください。
自分が結婚式を挙げるまで、結婚式に関わる仕事があることすら知らなかったんです。実は再婚だったのですが、本当は雲仙という土地で教会式を挙げたくて。でもそれが叶わないとわかったとき、「人前結婚式ができる場所を探しています」と会場にメールを送ったら、一軒のホテルから「うちにはいい司会者さんがいますよ」と連絡をいただいて。会いに行ったら、その司会者さんとすぐに意気投合したんです。当時は2000年頃で、インターネットで結婚式について調べ始めたばかりの時代。海外発の演出アイテムなど、こだわりたいことがどんどん出てきて、司会者さんと一緒に手づくりで結婚式をつくり上げていく感覚がありました。会場になったホテル東洋館のロビーで、私は初めての人前結婚式を挙げたんです。その司会者さんが本当に私を助けてくれて、「こうやって花嫁さんを助ける仕事っていいな」と思ったのが、ウェディングプランナーを志したきっかけです。
ーウェディングプランナーとしての勉強は、どのようにされたんですか?
どうやったらウェディングプランナーになれるのか、最初は全くわからなくて。結局、アメリカに本部のある「ウェディングス・ビューティフル」という通信教育で資格を取ったのが最初でした。司会者になるつもりはなかったのですが、結婚式の現場を見たくて先ほどの司会事務所に「勉強させてください」とお願いして所属させていただいて。実際の結婚式や披露宴を見ながら、知識は通信教育で学んでいく、というのが私の勉強のスタイルでした。
ー司会者としてデビューされたのは、どんな経緯だったのでしょう?
それが、自分から手を挙げたわけではないんです(笑)。もともと自分の声も嫌いで、マイクを持つなんてとんでもないと思っていました。ただ、花嫁さんに説明するときは滑舌は良いほうが望ましいですよね。それで司会事務所の中で発声練習を一緒にしていたんです。そうしたらある大安の日、人手が足りなくなって「松本さん、行ってきて」と言われて、急にデビューさせられました(笑)。

結婚式に限らず、人生の節目に寄り添う
ー初めてプロデュースを担当されたご夫婦のこと、印象に残っていますか?
はじめは、司会事務所に入ってすぐ、あるホテルのブライダルフェアのブースで新郎新婦と接する機会があって。プロフィールブックのようなものを手作りしてお渡ししたのが最初でした。その後、その司会事務所が入っていた会場の支配人さんから、全館貸切のウェディングをするご夫婦がいるのでプロデュースしてほしいと頼まれたんです。知識も経験もまだ浅かったので、お二人の話を「へえ」と聞きながら必死について行った記憶があります。長崎在住のお二人でしたが、美容師さんを東京から呼んだり、ドレスを作りに東京まで行かれたり、一つひとつにこだわりのあるお二人でした。夜の披露宴が終わって、翌朝、朝食を皆さんで一緒に食べてからお見送りをする、貸切ならではのホテルウェディングでしたね。今でもインスタグラムで繋がっていて、あの日は必死すぎて詳細は覚えていないくらいなんですけど、思い出には強く残っています。
ーこれまで00組を超えるカップルの結婚式に携わってこられて、いつも大切にしていることはありますか?
「これが私の強みです」と言えるものは、実はないんです。それよりも、新郎新婦がやりたいことや、ご両親の考え方など、すべてを汲み取ることを大切にしています。「はなえむ」という名前にも込めているんですが、来てくださったすべての方に笑顔で帰ってほしいんです。一時期、新郎新婦だけが楽しくて、おじいちゃんおばあちゃんは置いてけぼり、というオリジナルウェディングが流行った時期もありました。でも、それではいけないと思って。小さなお子さんからおじいちゃんおばあちゃんまで、「今日の結婚式、良かったね」と笑顔で帰ってもらえる結婚式を目指しています。

ー新郎新婦とご両親の考えが一致しない、ということもあるのではないでしょうか?
ありますね。ただ、私自身も親世代になったので、どちらの気持ちもわかるんです。新郎新婦の思いだけを通して「お父さんお母さんは黙っていてください」というのも違うし、逆にご両親の意見だけを取り入れて新郎新婦が我慢するのも違うと思っていて。その間を取って、両方が「それだったらいいんじゃない」と納得できる提案をするようにしています。
ー2019年に「はなえむ」を立ち上げてからは、結婚式以外の“節目のお手伝い”へと活動の幅を広げていらっしゃいますね。
きっかけは、以前フォトウェディングをお手伝いしたご夫婦から、「子どもの1歳のバースデーパーティーを手伝ってほしい」と頼まれたことでした。招待状づくりや会場装飾、当日の進行のお手伝いをしたんです。それ以外にも、以前担当した新郎新婦のお子さんの七五三の撮影のお手伝いや、お世話になった司会事務所の師匠の還暦パーティーの企画・運営、成人式の衣装やヘアメイク、カメラマンの手配など。結婚式に限らず、人生の節目節目のお手伝いをさせていただいています。
エシカルウェディング協会との出会い
ーエシカルウェディング協会とは、どんなきっかけで出会われたんですか?
代表の野口雅子さんとIWPA(国際ウェディングプランナー協会)で出会ったのがきっかけだと思います。その頃はまだ「エシカルウェディング」とは謳っていらっしゃらなかったと思うんですが、活動を見ていて「確かにそうだよね」と感じることが多くて。たくさんの婚礼の現場を見てきた中で、「もったいない」と思うことがよくあったんです。漠然と「今後はそうじゃない結婚式が必要だ」と思っていたときに、雅子さんのお話を聞いて興味を持って、「お話を聞かせてください」とお願いしたんです。
ー日々のご提案の中にも、エシカルな要素を積極的に取り入れていらっしゃるんですか?
積極的に、というところまではいけていないと思いますが、必要のないものは必要ない、という考え方はお伝えしています。お二人が本当に大切にしたいものを優先して、ほかの部分は省いてもいいんじゃないか、と。たとえば席次表も、最近は入り口に1枚だけ貼っておいて、確認してもらったら席に進んでいただく、というスタイルが増えています。持ち帰った席次表がそのままゴミになってしまう、ということもありますから。

長崎県ならではの結婚式のかたち
ー最近の新郎新婦の傾向として、どのように感じていますか?
結婚式を挙げたいという方と、目立ちたくないから挙げたくないという方、そこは二極化してきていると感じます。あとは、何に重きを置くか、ですね。少し前まではお衣装にこだわりたいという方も多かったんですが、最近は「オンラインで買いました」「フリマアプリで買いました」というドレスでパーティーをする方もいらっしゃいます。その分、お料理はきちんと出したい、とか。何を大切にしたいかは本当にお二人それぞれで、「一般的」という言葉はもうあまり当てはまらないのかもしれません。
ー長崎ならではの結婚式文化はありますか?
長崎はまだまだ100名を超える結婚式があります。少人数の場合は家族だけの10名ということもありますが、ごく一部ですね。土地柄、親戚も多くて、親戚だけで30名ということも珍しくありません。友人を加えて60〜80名くらいが、今のスタンダードという印象です。親から引き継いだ会社の関係で、親の友人や取引先の方をお招きするケースもあります。余興は昔に比べるとかなり減っていて、最近は新郎新婦が主催するクイズ大会やゲームをすることが多いですが、新郎側・新婦側でひとつずつ、くらいの余興はまだ残っています。
ー長崎らしい食材やお料理を、というリクエストはありますか?
みなさん、大体そう言われますね。県外から来られる方は「長崎はお魚が美味しい」というイメージをお持ちなので、お刺身を出したいという声はよく聞きます。あとは長崎に昔から伝わる「しっぽく料理」——和食と中華、オランダやポルトガルの料理が組み合わさった郷土料理があるのですが、その中の「おひれ」というお吸い物を最初にお出しするのが、長崎の料亭のしきたりなんです。披露宴で和洋折衷やフランス料理を選んでも、「これだけはつけたい」とリクエストされる方もたまにいて、その文化はまだ残っています。

ー和装の着用率は高いですか?
前撮りだけでも和装を1着着る、という方は体感で6〜7割くらいでしょうか。私自身は結婚式で白無垢を着なかったことをいまだに後悔していて。白無垢は、その時にしか着られないお衣装なので、少しでも着てみたいと思うなら絶対着たほうがいいですよ、とよくお伝えしています。
忘れられない結婚式のエピソード
ー今まで一番大変だった、あるいは印象深いエピソードがあれば教えてください。
地元の長崎外国語大学で、3年前から特別講師として講義をさせていただいています。その場でも必ず聞かれる質問なんですが(笑)。最近だと前日の夜10時まで新郎新婦と一緒に荷物の準備をしていたことがありました。「もうタイムリミットだよ」と言いながら荷物をホテルに運んで、「じゃあ明日ね」と別れたことも。引き出物の布バッグに、お二人のマークをスタンプする作業を前日夜にお手伝いしたこともあります。こだわりたい方は本当に細部までこだわられますし、逆に「そこはお金をかけてでも楽をしたい」という方は既製品を活用されたり。そこも本当にお二人それぞれです。

ーとても印象的なエピソードがあると伺ったのですが。
ガスも引いていないような、自然の中で暮らすご夫婦の結婚式ですね。長崎の雪の浦という地区で暮らしていたお二人で、まずお寺で仏前式を挙げて、地元で獲れた食材を使ったお料理を一膳ずつお出しして、その後の披露宴も同じお堂の広間で、というご希望でした。ところが打ち合わせの段階で広間での披露宴が不可になってしまって、急遽、地元の公民館を借りることに。お料理はお友達が持ち寄ってくれたおにぎりやお惣菜のビュッフェスタイル。ステージには画家である新郎さんの大きな絵を飾って、お友達のピアニストが演奏する、という結婚式になりました。

その雪の浦のお二人から紹介していただいた、別のご夫婦も印象的でした。前撮りで新郎さんが「土に埋まりたい」と言い出して。段ボールで首の部分だけくり抜いたものを作って、畑に穴を掘って新郎さんが埋まり、新婦さんが上からジョウロで水をあげる、という写真を撮ったんです。お二人ともアーティストで、この方たちも前日の夜10時まで準備を頑張っていました。おにぎり入刀もしましたね。一升分のお米を炊いて、ご実家にあった大きな木のしゃもじで入刀して、食べさせっこをして。

無理だと思う前に「面白そう」って思ってしまうところが、私にはあるみたいです(笑)。物理的にNGでなければ、基本的には何でも大丈夫だと思っているので。
結婚式を、文化として残していきたい
ーこれからチャレンジしたいことはありますか?
最近は福岡や大分にも足を運んでいて、県外のウェディングにも挑戦してみたいと思っています。ご縁をいただいたところに呼ばれて行く、というかたちが多いので、そのご縁を大事にしながら。夢を大きく言えば、まずは九州北部を盛り上げていきたいですし、ゆくゆくは九州全土でお手伝いできたらと思っています。
ー後進を育てたり、仲間を増やしたいという思いもありますか?
はい。今もスタッフが一人いて、手の届かないところは任せたりしているんですが、全国に仲間がいることや横のつながりはとても大切だと思っています。協会に所属していることのメリットも、そのあたりにあると感じているので、これからもそういった繋がりの力を借りながらやっていけたらと思います。
ー結婚式に対する価値観が変化していく中で、どのような思いで結婚式をプロデュースするというお仕事と向き合っていらっしゃいますか?
結婚式を文化として残していかないといけない、という思いがあります。今の時代、「お金がかかるから結婚式は挙げないほうがいい」という風潮もありますよね。実際、大学で講義をすると、結婚式に出席したことがない、という学生さんがほとんどです。「高い」「しないほうがいい」という、聞きかじりの知識だけで結婚式を諦めてしまうのはもったいないと思っていて。実際の結婚式がどんな一日になるのか、ご両親がどんな気持ちでいるのか、をお伝えするようにしています。
先日も、家族だけの平日の結婚式があったのですが、お母様が「入籍だけでいいと言っていたけれど、気持ちのけじめとして結婚式を挙げてほしくて」とおっしゃっていて。その気持ち、本当によくわかるんです。結婚式を挙げたという思い出は、お二人にとってはもちろん、ご両親にとっても「ようやく結婚したんだな」という実感を、目に見えるかたちで残してくれる。だからこそ、結婚式はやっぱりあったほうがいいと私は思っています。「結婚式は挙げなくてもいいと思っていたけれど、やっぱり挙げたいな」と思ってもらえるような活動を、これからも続けていきたいです。

【Profile】
松本友恵(まつもと・ともえ)
長崎県松浦市出身。自身の結婚式をきっかけにウェディングプランナーを志す。ホテルや文化施設、屋外など多彩な会場で、オリジナリティあふれる200組以上の結婚式でプロデュースと司会を手がける。2018年に「Kanoa Wedding(カノアウェディング)」を開業し、2019年からは「はなえむ」として、結婚式に限らず、人生の節目となるさまざまなお祝いの場をプロデュース。1級ウェディングプランナーをはじめ、ウエディングコンサルタント、空間デザイナー、ウエディングスペシャリストなどの資格を持ち、豊富な経験と専門性を生かして、一人ひとりの想いに寄り添った心に残る時間を創り出している。
松本さんのWeb Site「はなえむ」
https://hanaemu.jp
取材・文:Hanayo Tanaka